私とイケメンコンビニ店員の1分30秒

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昨夜20時頃、バイトを終え、家の近くのコンビニに立ち寄り、夕飯を買って帰った。

かぶとチキン南蛮、そしてチョコラBB

 

最近もっぱら肌の調子が悪いのだ。

チョコラBBがどのくらいの威力を発揮してくれるのか正直見モノだが、チキン南蛮の脂っこさには太刀打ちできまい。めかぶなんてお情け程度の健康を求めた末の決断である。

 

私は、レジに向かいながら、「たまにはこんな日もあるか」と思った。

何も深く考えることはない、今日はたまたまそういう日だっただけだ。

 

 

早速私はチキン南蛮を帰宅後の楽しみとすることに決め、レジへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのレジの前には、イケメン店員がいた。

 

 

 

 

私は度々このコンビニを利用することはあったが、こんなイケメンにエンカウントするとは思ってもみなかった。

 

 

 

彼は20代後半で、役者または歌手を目指している。

 

そして、メンヘラの年下彼女がいるものの、彼自身も案外メンヘラで、婚約指輪が高価で買えないため、左手の薬指にお互いの歯型をつけている。

 

またかつては喫煙者だったが、喉を痛めてはいけないという理由から現在禁煙に挑んでいる。しかし、煙が水蒸気である電子タバコの利用頻度は高い。

 

 

 

 

というのが私の彼の予想だ。

どうだろう、彼を見て瞬時にここまでの推測に至る私の頭脳。大したことがない。

 

 

かぶ、チキン南蛮、そしてチョコラBB

こんな買い物をする私は、彼の目にはどう映っているのだろう。

「一人暮らしの食生活が乱れているデブ」と思われてはいないだろうか。

 

 

 

コンビニといえば、

 

レシートの裏に自分のメアドか電話番号を書き残して渡す

 

というのがセオリーだ。

そこから発展していくのが、コンビニにおけるラブというものである。

 

 

 

そんな私の思いを汲み取ったように、彼はめかぶチョコラBBを袋に入れ、私にこう尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

「こちら、温めますか?」

 

 

 

 

 

 

 

彼が言う所の「こちら」とは、チキン南蛮である。

こそあど言葉、それはお互いがコンテキストを共有している時にのみ使用可能な言葉。

 

 

私と彼は、「チキン南蛮」というコンテキストを、今この瞬間、共有したのだ。

 

 

また、この温めるか否かという質問だが、我々女性陣には求められているのは、その質問の裏を読み解くことであろう。

 

 

 

 

「こちら、温めますか?(チキン南蛮を温めているその数分、僕に下さいませんか?)

 

 

なんせレシートの裏に、彼自身のメアド及び電話番号を書き残す時間が必要だからだ。

そしてもちろん答えは

 

 

 

「はい。(勿論です。)

 

 

 

その一択。

 

 

 

 

 

 

 

彼は、私の返答通り、チキン南蛮を電子レンジで温めた。

 

 

 

 

しかし、何ということだろう。

 

 

レシートに何かを書き残そうとする様子が全くもって見られない。

 

 

それどころか、めかぶチョコラBBが入った袋にご丁寧に箸を一膳入れている。

違う、君が今することは袋に箸を入れることではない。

私は心の中で叫び続けるほかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピッ

 

 

 

 

そしてとうとう、電子レンジが温め終わりの合図を告げた。

彼は淡々とチキン南蛮を別の袋に入れ、ただ一言「ありがとうございました。」と発した。それはまるで機械のようだった。

 

 

渡されたレシートの裏を見てみると、何も書かれていない。

私のスケジュール帳のように真っ白だった。

 

 

 

 

 

 

私は右手に温められたチキン南蛮、左手にめかぶチョコラBBを持って、帰路に着く。

 

 

思わせぶりな態度は、いつも人の心を傷つけるものだ。

 

 

私はすでに日が落ちた空を見上げ、そう思った。

すると、前方から自転車に乗ったおじさんが姿を現し、私に一言残して去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぃ〜ねぇ〜よぉ〜!」

 

 

 

 

 

 

最近、すれ違いざまに暴言を吐かれるんですが、そんなに私悪いことしてますか?