看護師となかなか定まらない注射の位置

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あれは高校3年生の冬の出来事であっただろうか。今日のように肌寒い日だったような気がする。私はインフルエンザの予防接種を受けに病院へ行った。

 

高校3年生ということもあり、受験に対する不安と緊張、そして少しの「何とかなる」という精神で持ち堪えていた。受験期にインフルエンザにかかって努力が水の泡にならぬように、ということでインフルエンザのワクチンを打ちに行ったのだった。

 

しかし、自分の中には「インフルのワクチンは効くのか」という猜疑心で溢れかえっていた。というのも、小学校高学年でインフルエンザの予防接種をしたにも関わらず、インフルエンザにかかったからだ。そのことを医者に告げると、彼は少し考えたのち、おもむろに常用のサイズではない綿棒を引き出しから取り出し私の鼻の穴の中にぶち込んだ。

 

「う"っごっぉおおん」

 

何が起こったのか一瞬分からなかった。私は声にならない悲鳴をあげた。口なのか鼻なのか分からない判別のしにくい区域まで綿棒を突っ込まれ、挙句の果てには医者は綿棒をクルクルと私の中で回し始めた。その様はまるで竹とんぼを回しているようにすら見えた。「おいおい、竹とんぼは鼻の外でやってくれ」と声を発したかったが如何せん綿棒が突っ込まれているので声にならない声しかあげることができなかった。

 

その後、医者は満足したのか

 

「これはサンプルとしていただきます」

 

と告げ、私に2000円分の図書カードを渡し、診察を終了した。初めて人体実験に協力したような気分になった私は、自分の粘液がどのように利用されるのか、ただただ気になるばかりであった。医療関係者が集って幼気な私のそれを隈なくチェックしているのかもしれない。

 

 

このような上記の一件があったため、インフルエンザの予防接種に対して私は威嚇する猫さながらなのだった。しかし、万が一のことを考慮すると接種するに越したことはないため、私はまた病院に足を運ぶ。

 

診察室に通されると普段通り看護師から「洋服の腕まくってください」という指示を受ける。その指示に従い、今か今かと注射されるのを待っていると診察室の奥から看護師の声が聞こえてきたのだ。

 

 

 

「これ、どこに打つんだっけ?」

 

 

「これ、どこに打つんだっけ?」

 

 

「これ、どこに打つんだっけ?」

 

 

 

「これ」とは紛れもなく「注射」のことだろうと瞬時に私は悟った。そして、注射を打つ場所というのはそんなにもアンビギュアスなものなのだろうか、とも思った。医療に関して何の知識も保有していない私が「それはおかしいだろう」と言って予防接種を打たずに帰ることもできたのだろうが、もし注射というのは液体が体内に注入されれば特に打つ位置は問題視されないものだとしたら私は嫌な患者になってしまう。臆病な私は「(多分ここかな〜)」くらいに思っている看護師を見ながら1回目の予防接種を終えたのだった。

 

 

という話を先日バイト先の人に話したら「え?」と言われました。